この冬、Ondarretaはスペイン大使館で開催されたインテリア展示会
“Substance – the power of the essential”(2025年12月10日〜12日) に出展を行いました。
展示会タイトルの「Substance」は、“本質”や“核心”という意味を持ち、そのコンセプトは展示会全体の構成にも投影されていました。会場では、素材そのものが持つ質感や余白、そして控えめな美しさが自然に立ち現れ、プロダクトの魅力を誘導する空間となっていたことが印象的です。
今回の展示会では、スペインと日本に共通する美意識をテーマに、インテリアファブリック、セラミックタイル、建築資材など多様なスペインブランドのデザインプロダクトが紹介されました。総合プロデュースおよび空間キュレーションは、株式会社シオアリトルデザインが担当。素材の背景、余白を活かす空間設計の巧みさが会場全体を統一していました。

Ondarretaからは、いくつかの代表的なチェアを出展しました。なかでも多くの来場者の視線を集めたのが、IKA Chair です。
このチェアはフォールディングチェアでありながら、本革を用いた背もたれが特徴です。持ち運びの際は背もたれの革部分を肩に掛けて移動できる設計になっており、機能性とデザイン性が融合した一脚として多くの来場者に体験していただきました。座り心地を試した方々からは、その快適性に驚きの声が寄せられ、シンプルでありながら丹念に設計されたプロダクトとして高い評価を得ることができました。

また、新作として発表した Mibu Chair も、展示の中心となりました。彫刻的な佇まいを持つ木製チェアとしてデザインされたこのプロダクトは、スペインのデザイナー Nadia Arratibel Galardi によるものです。

日本の伝統的な感性を基調にしつつ、現代のクラフトマンシップによって洗練されたMibuは、視覚的な軽やかさと構造的な緻密さを併せ持っています。一見ミニマルな佇まいですが、柔らかなカーブを描く木部、精緻なジョイント、各パーツのつながりが創り出す完成度の高さが、奥行きあるデザインを語っています。ダイニングチェア、バースツール、ラウンジチェアの3タイプを展開しています。住宅空間からコントラクトまで、幅広いインテリアに対応する洗練された一脚です。
既存の商品では、半透明のポリプロピレン製 SUPRA Chair も展示しました。スモークがかった質感は視覚的な軽やかさと耐久性を両立し、背もたれと座面が一体となった形状は最大20脚のスタッキングが可能です。人間工学に基づいたフィット感に加え、キャスター付きや木製脚など用途に応じた多様な展開ができる点も改めて評価されました。

来場者の多くはデザイナーや建築・プロダクト関係者で、素材や背景、デザインプロセスに関する会話が絶えませんでした。メーカーとしての出展は、商品そのものを紹介するだけでなく、共通する価値観や美意識を共有し、知見を深め合う貴重な場となりました。

展示会期間中にはセミナーも開催され、働き方の多様化や、日本のオフィスにおける “働かない場所(非ワークスペース)” の役割について、スペインのシエスタ文化や時間の捉え方をヒントとしたパネルディスカッションも行われました。これからのワークスペースの価値を考える視点は、家具・空間づくりに携わる私たちにとっても示唆に富んだ内容となりました。
今回の出展を通じて、プロダクトの背景や素材の魅力がより明確に伝わる機会となり、スペインと日本、それぞれの文化的な美意識が交差する場所としての価値をあらためて実感しました。今後も、Ondarretaとともに、空間に寄り添う家具を届けていきたいと考えています。